この頃は、
自分がタイプの女性と仲良くなりたい
ナンパのスキルを高めて美女を口説けるようになりたい、
そう思って、時間があればナンパをしていました。

 

2015年、8月の中盤、
名古屋駅前の居酒屋街でナンパをしていました。

 

何人に声をかけても
まったく連れ出せる気配がなく
諦めて帰ろうかとしていたその時
スーツ姿の美女が歩いているのを発見しました。

 

早歩きで近づいて、声かけました。

 

「おつかれさま、今日は仕事帰り?」

 

『う~ん、酔っ払ったー』

 

おおー、

ほろ酔い、

というかだいぶ酔っている美人OL。

 

これはチャンスだ。

 

「飲み会帰りなの?」

 

『うん、すごい飲んだ~』

 

「そうなんだ、俺も飲みの帰りなんだけど、もう少し飲み手くてね。今から一緒に飲まない?」

 

『もう飲めない~』

 

「そう?そしたらお水だけご馳走するよ」

 

『意味ないじゃーん』

 

「それかカラオケとかは?」

 

『うーん、行くー』

 

よーし、連れ出し承諾!!

 

ナンパをしていると
とくに粘ることもなく
あっさりと連れ出せることがたまにあります。

 

この時もそうで、
ほんとうにあっさりと連れ出すことができました。

 

ほろ酔いの美人OLと二人きりでカラオケです。

 

心の中でガッツポーズをしました。

 

カラオケに向かう途中に彼女の情報を聞いてみると

 

社会人1年目のOLさん

23歳

食品関連の商社の営業職

東北地方出身

1人暮らし

 

この日は、仕事関係の飲み会で
ワインをめちゃめちゃ飲んで酔っ払った

 

自宅まで歩いて帰る途中だったとのこと

 

なるほど、肌が綺麗なのは東北だからかな?

 

1人暮らしで徒歩圏内。
なんという立地条件。

 

このまま彼女の家に泊めてもらえるかもと
期待が膨らみました。

 

2人でカラオケに入り
お酒を注文し飲みながら歌いました。

 

彼女は歌が上手でした。

 

相手は酔っ払っているし
これは口説き易い物件かなと
高をくくっていました。

 

しかし、彼女との距離を縮めようとしても
すぐに警戒して離れるし
とても接触できる雰囲気にはできませんでした。

 

楽しく歌って飲んで、
楽しさを共有できたら打ち解けることができるかもと思い
とにかく楽しむことを意識しました。

 

彼女は徒歩圏内だけど、
僕は終電があります。

 

タクシーで帰るのはお金がかかるし・・・

 

どうしようかと考えた末に
僕が終電を逃して彼女の家に泊めてもらう作戦にしました。

 

カラオケのフロントから
終了10分前の連絡が入ります。

 

盛り上がっていたので30分延長することにしました。

 

そして、僕の終電の時間は過ぎ去りました。

 

 

退店前に彼女とライン交換をしました。

 

『ひさしぶりに歌ったー』

 

店を出ると、彼女は満足そうでした。

 

さてと、泊めれもらわなければならない。

 

「あのさー、終電がなくなっちゃったから泊めてくれない?明日の朝には帰るからさぁ」

 

どうだ?

 

『だめですよー、ごめんなさいね』

 

うむ、簡単にはいかないか・・・

ここは粘らねば。

 

「嫌がるようなことはしないからさぁ、おねがい」

 

『ごめんなさい、ビジネスホテルに泊まってください』

 

「マジ頼むってー、マジお願い」

 

しつこく交渉をしていると
だんだんと彼女の中から笑顔がなくなり
不機嫌な表情に変わっていきました。

 

『そういうつもりだったらついて行かなかったし。

一緒に飲むだけっていったからついて行ったのに・・・』

 

真面目な表情で
出会った時の甘ったるい喋り方とは正反対の
冷めた口調で言い放たれました。

 

「わかった、ごめん・・・」

 

惨敗。

 

彼女と別れ、僕は駅の方に向かって歩きました。

 

この日はタクシーで帰りました。
タクシーだと名古屋駅から自宅まで約5000円の出費。

 

女の子をお持ち帰りするのきのタクシー代は必要な出費だと思います。

 

ホテルに行くより安いし。

 

しかし、一人でタクシーで帰る時の虚しさと財布の痛み。

 

僕は一般的なサラリーマン。

 

限られた給料の中でやりくりしているので
5000円の出費はバカになりません。

 

 

この日は負け。

 

自宅にしつこくお願いしたことを
謝罪する内容のラインを送って寝ました。

 

しつこくお願いして断られたのだから
返信は来ないだろうなと、
あまり期待していませんでした。

 

 

しかし翌日、返信がありました。

 

「昨日は楽しかったです、ご馳走してくれてありがとうございます」

 

おおっ、これは予想外。

 

そのままダラダラとラインのやり取りを続け
8月の後半に花火を見に行く約束を取り付けました。

 

岐阜県大垣市で開催される花火大会。

 

僕の目の前に、敗者復活の場が設けられました。

 

 

8月後半の土曜日、
僕は午前中は出勤でした。

 

仕事が終わるとラインを入れ、
名古屋駅まで迎えに行きました。

 

初めて見る私服は
落ち着いた色あいのワンピースでした。

 

うん、悪くない。

むしろいい。

 

スーツの時は
仕事ができるキャリアウーマンに見えたけど

私服姿はかわいい女の子、
そのギャップに魅力を感じました。

 

車で大垣のイオンまで行って車を止め
花火会場まではタクシーで移動することにしました。

 

 

かわいい女の子と一緒に見る花火は
本当に素敵なものです。

 

車で来ていたので
ビールを飲めなかったのが唯一残念でしたが
美女と一緒に夏を味わえたことに満足でした。

 

 

前回、彼女の自宅に行きたいと
しつこくお願いして断られていたので
どのように彼女との距離を縮めるか慎重に考えました。

 

うーん・・・

 

よしっ!!

 

彼女の肩に手を回し
僕の方に抱き寄せました。

 

どうだ?

 

一瞬驚いた表情を見せましたが
いたずらな笑みを浮かべ
僕のほうにカラダをあずけてきました。

 

いいぞ、

 

いいぞ、

 

美女とカラダを密着させて見る花火
その魅力が何倍にも増しているように感じました。

 

帰り道は手を繋ぎました。

 

車を止めたイオンまでは徒歩20分ぐらい。

 

傍から見たらカップルのように
手を繋ぎ、楽しく会話をしながら歩きました。

 

 

幸せだ、素敵な時間をくれて神様、ありがとう。

 

多少ナンパができるようになっても
根本は非モテのころとかわっていません。

 

女の子と過ごすささいな瞬間に幸せを感じてしまいます。

 

 

車に乗り、この後の展開を考えました。

 

ここは岐阜県、
とりあえず名古屋の方に向かって車をはしらせました。

 

僕の自宅に誘うのか、
もう一度彼女の自宅に行きたいとお願いするのか。

 

僕はホテルを使うことはほとんど無いので
この時もホテルという選択肢は出てきませんでしたが。

 

今日は肩を抱き寄せた
手も繋いだ
前回よりは距離が縮まっているはず。

 

そう考えました。

 

気がつくと
助手席に座る彼女は
眠りについていました。

 

すやすやと眠る彼女、
その唇に色気を感じました。

 

僕も少し眠たかったので
コンビニに立ち寄り
コーヒーを買いました。

 

彼女の唇を見て
キスをしたい衝動に駆られました。

 

しかし、そんな勇気はありませんでした。

 

前回、自宅に泊まることを断られたトラウマが
このとき、強く残っていました。

 

僕の家に向かうのか
彼女の自宅に向かうのか
分かれ道に差し掛かりました。

 

僕は彼女の自宅に向かう道を選択しました。

 

このままじゃダメだ。

 

このままじゃ彼女を自宅まで送り届けて
なにもなく健全解散で終わってします。

 

しかし、一度でてきたトラウマは
僕の勇気を萎えさせるのに十分でした。

 

「うちに来ない?」

 

たったこの一言が言えません。

 

喉元まで出かかった言葉が出てきません。

 

言わなきゃダメだ

 

言わなきゃダメだ

 

このヘタレが。

 

ひと言、口に出すだけだろうが。

 

 

 

気がつけば、彼女の自宅付近まで来ていました。

 

まだ寝ていた彼女の頬を軽く叩き

 

「もうすぐ着くよ」

 

そう言って彼女を起こしました。

 

『ごめん、寝ちゃった』

 

そう言って目をこすっています。

 

 

あと5分で着く。

 

あと3分で着く。

 

ひと言、口にするだけだろう。

 

 

到着。

 

「今日は楽しかったよ、ありがとう」

 

『こちらこそ、運転お疲れさまでした』

 

「また、飲みに行こうね」

 

『うん、ラインして』

 

 

バタン。

 

彼女は車を降り、助手席の扉を閉めると
自宅に帰っていきました。

 

 

ヘタレ。

 

この日の僕は、この一言で集約されると言えるでしょう。

 

 

手を繋ぎ、僕に寄り掛かってきた。

 

彼女の方も、
少なからず好意を示してくれていたと思います。

 

家に行きたいとしつこく言ってきた男に
再び会ってくれた。

 

といことは
少なくとも“ナシ”ではなかったはず。

 

カラダを密着してきたことからも
“ナシ”ではなかったはず。

 

しかし、ヘタレの僕は
最後の最後にビビってしまい

自宅に誘わずに健全に送り届けるという
不完全な結末を選択してしまいました。

 

 

自宅に誘ったからと言って
来てくれたかどうかは分かりません。

 

もちろん、断られていた可能性もあります。

 

しかし、花火会場での彼女との関係を見ると
自宅に来てくれた可能性も十分にあったと思います。

 

 

その意思を確かめることなく
僕は彼女と別れました。

 

 

結局、彼女とは
その後も何度かラインをするも

お互いに都合が合わず
二度と合うことはありませんでした。

 

 

女性を自宅に誘うということは

 

「あなたに魅力を感じている」

 

と女性に気持ちをストレートに伝える行為であるとともに

 

「お前(女性)にとって俺はアリなのか、ナシなのか?」

 

女性から男性に対する評価を教えてもらう行為です。

 

女性にとって
ある程度いいなと思った男性から
自宅に誘われることは嬉しいわけです。

 

しかし、誘う側の男性にとってみれば
目の前の女性に自分の評価を下される行為なので
誘うのにも勇気が必要です。

 

この時の僕は
彼女から断られるのが怖くて
誘うのをためらいました。

 

自分が傷つくのが怖くて
喉元まで出かかった言葉を飲み込みました。

 

しかし、結果は
彼女と二度と会うことはありませんでした。

 

 

どうなったかなんて分からない。

 

だけど、
伝えたいと思って
伝えなかったことは後悔します。

 

自宅に誘ったところで
断られてたかもしれません。

 

もしかした、らワンナイトだけの関係になっていたかもしれません。

 

もしかしたら、男女の関係になった後、恋人同士になっていたかもしれません。

 

もしかしたら・・・

 

結局、想像の中でしか答えは出せないということになってしまいました。

 

 

チャレンジして失敗することよりも、何もしないことを怖れよ。

 

この言葉の意味を考えさせられた出来事でした・・・